[home][up]




アブラナ科蔬菜の花弁分化時期

Timing of petal initiation in Brassica



1

2

3

4

5

 Fig. Initiation and development of the floral organs in Chinese kale.

1) Initiation of petals, outer and inner stamens, 2) Enlargement of Fig. -1, 3) Beginning of stamen development, 4) Stamen elongation and pistil initiation, 5) Beginning of petal elongation.

pe: petal, os: outer stamen, is: inner stamen, pi: pistil.


 園芸植物では,キャベツ(Thompson,1976),カブ(Orr,1978),ブロッコリー,カリフラワー(藤目,1983),ナタネ(Polowick・Sawhney,1986)などのアブラナ科蔬菜で雄ずい分化後に花弁が分化すると報告されている.蔬菜類以外のアブラナ科植物では,Smyth(1990)がシロイヌナズナにおいて花弁と内輪雄ずいが分化した後に,外輪雄ずいが分化したと報告している.また Beyer (1942)はグラジオラス,アイリス,クロッカスなどのアヤメ科花卉においても花被分化前に雄ずいが分化するとしている.しかし小杉(1955)及び Kosugi et al.(1967)はフリージアとジャーマンアイリスの花芽発達段階を分類し,外花被と雄ずいの分化を同じ発達段階で扱っており, Rees(1985)はアヤメ科花卉の花被は雄ずい分化の後に分化するとしている.
 Kient et al.(1985)はこのような花器分化時期の逆転は,分化初期の花器原基が小さいこと,またその原基の発達が遅れることなどの理由のため,実体顕微鏡での確認が困難であったために起こった可能性を示唆している.アブラナ科蔬菜の花弁の場合,花弁の発達がきわめて遅いという特性が認められており,そのために花弁分化時期にその確認がなされていない可能性は高い(藤目・垣渕,1992b).
 そこでアブラナ科蔬菜のカイランについて片分化期から,花弁伸長前期までの小花の発達を示した.4枚のがく片が分化して伸長を始めた直後に,がく片を切除して観察すると,がく片の内側に花弁が,外輪雄ずいとほぼ同時に分化していることが確認された(1).4枚の花弁原基は2本の外輪雄ずいの両側に4枚ほぼ同時に分化していた(2).次に雄ずいが膨大を始め(3),続いて心皮の分化が認められた(4).この間,花弁の発達は認められなかった.心皮が分化した後,花弁は突起状からディスク状になり,急激に伸長した(5).
 以上の結果,アブラナ科蔬菜における花葉の分化位置と分化順序は他科の植物と同様に求頂的に外側から内側へがく片,花弁,外輪雄ずい,内輪雄ずい,心皮の順に分化していることが確認された.


kaki-k@mail.netwave.or.jp