第2話 〜出発までのプロローグ2〜
妻の車で丸亀駅に向かいながら、私の回想は続く。
海外出張が決まったとBeBeに伝えると、彼女は早速カナダの旅行案内の本と、ブランド品のカタログを買ってきた。こんなことは素早い。
「オグリビーって言う老舗のデパートがあって、フランスの有名ブランドのテナントが入っているはずだから、そこでこれ買ってきて。もし、これがなければ、これ、それもなければ、これ。」
と渡されたブランド品の切り抜き3点。
「仕事で行くんだぞ〜。遊びに行く訳じゃないんだぞぉ〜!そんなん買っている間があるわけないやないかぁ〜!」
「ダンナが長期出張で留守を守っている、不安な新妻のために買ってきてくれてもいいやん!」
不安なのは、私の方だ。
しかし、ここでモメると、呉エイジ氏の
「我妻との闘争(http://www.117.ne.jp/~kure/、マックピープル連載中)」
状態になってしまう。万一の場合、二度と妻に会えないかも知れないのだ。悪い印象で日本を後にしたくない。で、グッとこらえて、切り抜きを受け取った。
BeBeの買ってきた旅行案内を読む。バンクーバーとかオンタリオなどのメジャーな地域は詳細に乗っているが、モントリオールのページはごく少ない。やはり、日本人が滅多に行く場所ではないらしい。
「カナダへの入国」の項目では、「カナダへの入国はバンクーバー空港で行います。」と当たり前のように、しかも詳細な図解入りで書いてある。どこにも、「モントリオール空港からの入国方法」なんて、ない。
さらに読み進めていく。「モントリオールのホテル」・・・リッツカールトン、ヒルトン、etc・・・ん?
・・・・ない、私の泊まる予定の、ホテル・オムニが載っていない・・・・。本屋に行って片っ端からいろんな旅行案内書見ても、どこにも、、、ない。
不安が高まる。
不安とは言いながらも、荷造りはせねばならない。2月にハワイに行っていたので、パスポート、貴重品袋、洗面道具、飛行機用のスリッパ、アイマスク等必要なものは揃っている。トランクは会社から借りた。
そのうち、航空券を持っておねぇさんがやってきた。チケットは。行きのNW070便(関空-デトロイト)とNW1106便(デトロイト-モントリオール)。帰りのNW1138便(モントリオール-デトロイト)とNW069便(デトロイト-関空)。そして、すべてのチケットの情報の控えが1枚で全部で5枚。
帰りのNW069便のチケットを見ながら、「これを使う時は、ホッとしているんだろうなぁ」
さて、衣類や発表原稿、OHP、会社のパンフなど必要なものをトランクに詰め込んだ。荷造りは、あっという間に終了。実にあっさり。
「こ、こんだけでええの?」
もう一回、チェックする。。。。
「えっと、パスポート、航空券。。。これがあれば、とりあえず行って帰ってこれる・・・・。その次は・・・・・」
あまりにも、あっさりしすぎた荷造りはかえって不安。
トランクの蓋を何度も開けたり、閉めたり、貴重品入れのパスポートと航空券を何度も確認し・・・・。
ここまで思い出したとき、ヴィータは丸亀駅に到着した。
つづく・・・・