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第3話 〜出発までのプロローグ3〜


 ヴィータは丸亀駅に到着した。ショルダーバックを肩に掛け、車からトランクを取り出す。

 この時、旅行代理店のおねぇさんがくれた、デトロイトの情報が頭をよぎる。

「デトロイトはアメリカ自動車産業の中心地。工業地帯であるため治安はあまりよくなく、貿易問題で対日感情も悪い

 また、おねえちゃんの言葉。

「アメリカの空港は、日本と違って誰でもカウンターにひょいひょい入ってこれるんやで。」

 空港で屈強なアメリカ人にどこかに連れ込まれ、身ぐるみ剥がれたらどうしよう。身ぐるみ剥がれるだけならまだいい・・・・。

 映像が浮かぶ。

ヘイ、ジャップ!、フリーズ!


あ、あ、あいあむ・・・・


BANG!!

「汽車、何時やの?」
とBeBeの声で妄想は中断する。(香川県の人はJRを「汽車」と呼ぶ。「電車」と言えば、それは私鉄の琴平電鉄のことになる。十年くらい前まではJRは全部ディーゼルだったから。。。もちろん、今は電車も走っています)

「10時24分や。まだあと20分くらいあるわ。。。そうや、ちょっと薬買うとくわ。」
 駅の薬屋で、「胃薬欲しいんですけど?」

薬屋のおばちゃん。

「どんな症状なん?お酒は飲むん?」

「うん、たくさん飲む」

「奥さん、よっけ飲むん?ダンナさん」とまだ店の入り口でケロヨンと遊んでいるBeBeに聞く。

「まぁ、ちょっと、たくさん、飲みますね」(どっちや〜!)

「いや、そうじゃなくって、これから海外旅行なもんでとりあえず。」

「そう、この人チキンハートだから、胃の調子が悪いんです」

「・・・・それでしたら、効き目の緩やかな・・・」

結局、大正漢方胃腸薬を購入。

「・・・ぼちぼち、ホームに行っとくわ。」

 BeBeの顔を見る。もしかしたら、これが今生の別れになるかも知れない。しっかり、生命保険には入っておいた。万一の場合でも一億近いカネがBeBeに渡る。それに業務中だから、労災も出る。当分は困らないだろう。これもダンナのたしなみと言うもの。(かっこいい!)
 改札を通って、エスカレーターに向かう。エスカレーターに乗りながら振り返る。手を振る。向こうも手を振る。エスカレーターは上っていく。BeBeの姿はフェードアウトしていく・・・・・。

ごろごろトランクを転がしながら、駅のホームを歩く。

とうとう、旅が始まった!


つづく・・・・