第6話 〜太平洋ひとりぼっち〜
タイトルが、モロ盗作だが、これもトラウマの産物と許していただきたい。(第4話参照)
とうとう、ノースウエスト70便は日本を離れた。しかし、それにしても居心地が悪い。座席が本当にこれでいいのだろうか?
座席の装備はさすがにいい。肘掛けからは液晶テレビは出てくるし、ヘッドレスト、フットレストもある。スリッパ、アイマスク、ハブラシまで付いている。何と言っても広い。座席を倒してフットレストを上げれば、ほとんどフルフラットで寝れる。
サービスもいい。まず、おしぼりが来るのだが、タオルの質がいい。もちろんビニールに入っているのではなく、手渡し。
次に、ドリンクサービス。
さて、はて、ここでこのサービスを受けていいものかどうか・・・・。なんたって、私は
エコノミー料金(それも格安チケット!)しか払ってないのだ。
ビジネスクラスの正規料金は、なんと私が支払った約5倍!
さて、ドリンクサービスが来た。パーサーのお兄ちゃん(金髪)が座席リストを見ながら・・・・
「オノミモノハ、ナニニナサイマスカ?カキブチサマ」と名前付き。これで、
あ〜。ここの席でちゃんと登録されているんだ・・・と安堵すると同時に、飛行機で名前を呼んでくれてサービス受けるなんて、
めちゃめちゃかっこええやん!
一安心して、ウイスキーをロックでもらう。べつに、カッコつけている訳じゃない。ホントはビールが好きなんだけど、ビールは利尿作用が激しい。広いから、隣のおばちゃんを煩わさなくてもトイレに行けるのだが、やはり、控えておいた方がいいだろう。どうせ、私は貧乏性で心配性。とにかく、酔ってしまえば感覚も鈍るし、よく眠れるだろう。
隣のおばちゃん・・・おもむろに手紙を書き始める。私は買ってきた「少年マガジン」を読む。
エコノミーとビジネスでは、座席もさることながらなんといっても食事が違う。パーサーのおにいちゃんが「メニューは見たかい?」、隣のおばちゃんは、「和食」、私は「洋食」。和食は松華堂弁当、洋食は「ビーフ or チキン?」ここでは迷わずチキン。つまり、かしわ。
かしわについては、少々恨みがある。中学の時、社会にUと言うアナグマのような顔をした教師が居た。
そう、「日本の産業」をやっていた時だ。養鶏業の所で、このアナグマは、
「養鶏業では鳥肉を作るんやな。え〜と、鳥肉のことを別名なんて言ったっけ・・・え〜と・・・・・・、ホラ、あれや、わからへんか、オマエ」
と私を指した。
大阪で鳥肉の別名と言えば、やはりかしわだろう。現に近所の商店街には「かしわ屋」ってな鳥肉専門店もあったのだ。
そこで、私はおっきな声で
「かしわ」
と言った。すると、アナグマ。
「ふる〜!今時かしわなんてじいさんしか言わへんで。ほら、英語でなんとか言ったろ」
そうすると、他の生徒が小声で
「ブロイラー?」
「そ!そうや、ブロイラーや、そうそう。かしわは、古いで、ははははははははは!」
級友達も笑った。
それ以来、私のアダナは「かしわ」になった。
私は今でもあのアナグマの無神経な、下品な笑い顔が忘れられない。
しかし、大学で「畜産学」の授業を受けていると、『ブロイラー』とは鶏の中のブロイラー種を指すものであり、鶏肉全般を指すものではない事を知った。この点でアナグマが生徒に教えたことは、間違った知識であったのだ。
少なくとも「かしわ」とは、関西弁で鶏肉全般を指す言葉であるので、アナグマより私の方が正確であったのだ。
ちなみに、アナグマは現在教育委員会のエライさんらしい。今度、尋ねて行って、アタマの上にフライドチキンでもディスプレイしてやろう。
んなことは、まぁ、いい。
しかし、まぁ、ビジネスクラス。スープ、前菜、主菜とちゃんとお皿で出てくる。最後のデザートは色々なフルーツやヨーグルト、アイスクリームから選び放題!!キャー!うれしい!!。。と言いながら、飛行機は飛んでいく・・・・。
つづく